はじめに
外国人を雇用する企業のご担当者様、そして日本で暮らす外国人ご本人から、在留手続きの費用について次のようなご相談が増えています。
- 「在留資格の更新にかかるお金が、2026年10月から大幅に上がると聞いた。本当か?」
- 「永住申請が20万円になるというのは本当?今のうちに申請したほうがいいのか」
- 「社員の更新費用を会社が負担しているが、値上げでいくら増えるのか知りたい」
これらの背景にあるのが、2026年10月1日から始まる在留許可手数料の大幅な改定です。在留許可手数料とは、在留資格の変更、在留期間の更新、そして永住許可のときに国に納める手数料のことです。
結論から言えば、2026年10月1日以降、在留許可手数料は現行の2倍から20倍に引き上げられます。そこでこの記事では、新しい料金表、値上げの理由、支払い方法の変更、そして施行前にやっておくべき対策まで、実務の視点で具体的に解説します。
結論:2026年10月1日から在留許可手数料が大幅に値上げされる
まず、今回の改定の全体像を押さえておきましょう。ポイントは3つです。
第一に、在留資格の変更・在留期間の更新の手数料が、許可される在留期間に応じた段階制に変わります。金額は、窓口申請で1万円から7万5千円です。第二に、永住許可の手数料が、現行の1万円から20万円へと20倍に引き上げられます。第三に、オンライン申請は窓口より手数料が安く設定されます。
つまり、在留期間が長いほど高くなり、永住は一律20万円になる、というのが今回の在留許可手数料の見直しの骨子です。
いつから変わる?施行日と「9月30日までの申請分」の扱い
在留許可手数料の新しい額が適用されるのは、2026年10月1日以降に申請した手続きからです。
ここで実務上とても重要なのが、経過措置です。2026年9月30日までに申請した分は、許可が下りるのが10月1日以降になっても、改定前の額が適用されます。つまり、申請日を基準に旧料金か新料金かが決まります。許可日ではありません。
そのため、施行日の直前に更新や永住申請を控えている方は、判断が分かれます。旧料金で済ませたいなら、9月30日までに申請を終える必要があります。ただし、期限ギリギリの駆け込みでは、書類不備で受理されず旧料金を逃すおそれもあります。したがって、余裕を持った準備が欠かせません。
新料金はいくら?在留期間別の一覧(変更・更新)
それでは、具体的な金額を見ていきましょう。
変更・更新は「在留期間が長いほど高い」段階制
在留資格の変更許可・在留期間の更新許可の手数料は、許可される在留期間ごとに次のとおり定められました。オンライン申請の場合は、窓口申請より3千円から1万円安くなります。
| 許可される在留期間 | 窓口申請 | オンライン申請 |
|---|---|---|
| 3月以下 | 10,000円 | 10,000円 |
| 3月超6月以下 | 18,000円 | 15,000円 |
| 6月超1年未満 | 25,000円 | 21,000円 |
| 1年 | 33,000円 | 27,000円 |
| 1年超3年未満 | 48,000円 | 42,000円 |
| 3年以上5年未満 | 64,000円 | 56,000円 |
| 5年以上 | 75,000円 | 65,000円 |
参考までに、現行(2025年4月1日改定後)の変更・更新は6,000円(オンライン5,500円)です。つまり、1年の更新でも5倍以上、5年なら10倍以上の負担増になります。
永住許可は一律20万円(現行の20倍)
永住許可の手数料は、申請方法を問わず一律20万円です。現行は1万円ですから、20倍の引き上げです。
なお、法律上の上限額は30万円に設定されています。ただし、これは今後の見直しに備えた枠です。2026年10月1日の時点で実際に納めるのは20万円です。なお、20万円の手数料は審査を通過し、永住許可が下りた際に初めて納付します。万が一不許可となった場合は手数料を支払う必要はありませんので、その点はご安心ください。
なぜ値上げ?在留期間で額が違う理由
入管庁は、値上げの理由をいくつか挙げています。まず、出入国在留管理に要するコストの増大です。次に、諸外国に比べて日本の手数料が著しく安かったことです。さらに、今後の物価上昇にも弾力的に対応できるようにするためとされています。
では、なぜ在留期間によって額が違うのでしょうか。入管庁の説明はこうです。在留管理の施策による受益の程度は、在留期間によって異なると考えられるためです。しかも、長期間の在留を認められる人は、一般的に在留状況が良好です。そのため、5年の人は1年の人より、1年あたりの負担が低くなるように設計されています。
また、オンライン申請が窓口より安いのにも理由があります。申請者の利便性を高め、窓口の混雑を緩和し、オンライン化を進める狙いです。
支払い方法も変わる|オンラインはキャッシュレス、窓口は収入印紙
今回の改定では、手数料の納め方も見直されました。
まず、在留申請オンラインシステムで申請した場合です。従来の収入印紙による納付から、コンビニ決済または銀行決済に変わります。インターネットバンキングを使えば、キャッシュレスで納付できます。
一方、窓口で申請した場合は、従来どおり収入印紙で納めます。ただし、ここに実務上の注意点があります。在留期間によって手数料の額が変わるため、必要な収入印紙の額面も変わります。しかも、入管の売店やコンビニでは収入印紙の在庫に限りがあります。そのため、許可を受け取りに行く前に、ハガキに記載された金額分の収入印紙を、大きな郵便局などで事前に購入しておくと安心です。なお、収入印紙の購入は現金のみですので、ご注意ください。
手数料の減額・免除の対象になる人
今回の改正には、経済的に困難な人への配慮として、減額・免除の規定も設けられました。
減額の対象は限定的です。具体的には、生活保護法上の要保護者に準ずる程度に生活に困窮していて、かつ人道上の配慮が必要な人です。この両方に当てはまる必要があります。どちらか一方だけでは対象になりません。
減額される場合の実際の納付額は、次のとおりです。3月を超える在留期間が決定される変更・更新なら、1万円まで減額できます。永住許可なら、2万円まで減額できます。ただし、永住の減額は、日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子などに限られます。
なお、外交または公用の在留資格への変更などは、手数料が免除されます。
よくある誤解|「永住権の更新に20万円かかる」は間違い
ニュースやSNSで「永住権の更新に20万円かかる」という情報を見て、不安になった方もいるかもしれません。しかし、これは誤解です。
そもそも、制度上「永住権の更新」という手続きは存在しません。永住者が定期的に行うのは、在留カードの有効期間の更新です。永住者の在留カードには7年間の有効期間があります。満了前に新しいカードへ切り替える必要があります。しかし、この手続きは在留資格そのものの変更・更新ではありません。そのため、今回値上げされた在留期間更新許可の手数料も、永住許可の手数料も発生しません。つまり、永住者の在留カード更新に手数料はかかりません。
では、20万円がかかるのは誰でしょうか。それは、まだ永住許可を持っていない人が、新たに永住権を取得するための永住許可申請です。すでに永住者である人が7年ごとに行うカード更新とは、別の手続きです。手続きの名前を取り違えると、不要な心配をしたり、本当に必要な準備を後回しにしたりしかねません。判断に迷うときは、専門家に確認しましょう。
施行前に企業・本人がやっておくべきこと
値上げの影響を抑えるために、施行前にやっておきたいことをチェックリストにまとめました。
- 社員・家族の在留期限と在留資格の種類を一覧にして、更新スケジュールを把握しているか
- 施行日前後に更新を迎える人がいないか、前倒し申請できる案件を洗い出したか
- 手数料を会社が負担するのか本人が負担するのか、就業規則や雇用契約書で明文化したか
- 更新のたびに1年しか許可されず費用がかさむ状態を避けるため、書類の質を高めて長期の在留期間を狙えるか
- 住民税・所得税・健康保険・年金などの公的義務に、滞納や漏れがないか
特に、更新のたびに1年更新を繰り返すと、費用も手間も膨らみます。最初の申請で3年・5年の長期在留を取れるように準備することが、結果として大きなコスト削減につながります。
よくある質問(FAQ)
Q. 9月30日までに申請すれば、旧料金のままですか?
はい。2026年9月30日までに申請した分は、許可が10月1日以降になっても、改定前の額が適用されます。判断の基準は申請日です。許可日ではありません。ただし、駆け込み申請は書類不備のリスクがあるため、早めの準備をおすすめします。
Q. オンライン申請と窓口申請では、本当に金額が違うのですか?
違います。変更・更新については、オンライン申請のほうが窓口より3千円から1万円安く設定されています。ただし、3月以下の区分と永住許可は、オンラインでも窓口と同額です。オンライン申請では、手数料本体のほかに、数百円程度の「決済手数料」が別途発生します。
Q. 経済的に厳しい場合、手数料は免除されますか?
減額・免除の規定はあります。しかし、対象は限定的です。生活に困窮していて、かつ人道上の配慮が必要という両方の条件を満たす必要があります。永住の減額は、日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子などに限られます。すべての人が対象になるわけではありません。
Q. 会社が手数料を負担する義務はありますか?
法律上、企業に負担を義務づける規定はありません。会社負担か本人負担かは、就業規則や雇用契約の定めによります。ただし、手数料が数万円規模になることを踏まえ、施行前に社内ルールを明文化しておくと、トラブルを防げます。
まとめ
2026年10月1日から、在留許可手数料が大幅に値上げされます。変更・更新は在留期間に応じて1万円から7万5千円です。永住許可は一律20万円になります。しかも、9月30日までの申請分は旧料金という経過措置があるため、施行日前後の申請はタイミングが重要です。
一方で、「永住権の更新に20万円かかる」という情報は誤解です。永住者の在留カード更新に手数料はかかりません。20万円は、新たに永住権を取得する永住許可申請の手数料です。
在留手続きは要件が複雑で、書類の不備が不許可につながることもあります。手数料が上がるほど、申請の失敗によるコストも大きくなります。だからこそ、確実に手続きを進めることがこれまで以上に大切です。
在留手続き・費用のご相談は行政書士すずらん国際法務事務所へ
行政書士すずらん国際法務事務所では、企業の外国人雇用と、外国人ご本人の在留資格手続きの両方をサポートしています。今回の在留許可手数料の値上げでは、施行前の前倒し申請や、長期の在留期間を取るための書類づくりが、費用を抑える鍵になります。当事務所では、更新スケジュールの整理から、申請書類の準備、永住申請の要件確認までを一貫してお手伝いします。英語対応・全国オンライン相談にも対応しております。
初回のご相談は無料です。「値上げ前に更新できるか知りたい」「永住申請は今すべきか」といったご不安がある段階で、どうぞお気軽にご相談ください。


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