外国人を採用する企業が必ず知っておくべきなのが不法就労助長罪です。「知らずに雇っていた」では済まされないこともあり、経営者や採用担当者から次のような相談がよく寄せられます。
- 「不法就労助長罪とは、どんな罪で、どんな罰則があるの?」
- 「本人が偽っていた場合でも、会社が処罰されるの?」
- 「不法就労を防ぐために、企業は何を確認すればいい?」
結論から言えば、不法就労助長罪は不法就労をさせた企業側が問われる罪で、知らなかったという理由だけでは責任を免れられないのが大きな特徴です。そこでこの記事では、不法就労助長罪の内容・罰則・企業が取るべき対策を、行政書士がわかりやすく解説します。
不法就労助長罪とは?まず結論をおさえよう
不法就労助長罪とは、入管法第73条の2に定められた罪で、不法就労にあたる活動をさせた企業や、その就労を助けた者を処罰するものです。つまり、罰せられるのは働いた外国人本人だけでなく、雇った企業側も対象になります。
典型的なケースとしては、次のようなものが挙げられます。
- 在留資格を持たない不法滞在者を雇う
- 就労できない在留資格の外国人を働かせる
- 資格外活動許可の範囲を超えて働かせる(留学生を許可時間より長く働かせるなど)
不法就労助長罪の罰則
不法就労助長罪の罰則は重く、現在は「3年以下の拘禁刑(※従来の懲役刑)もしくは300万円以下の罰金、またはその両方」が科されます。
さらに、2024年の入管法改正により厳罰化が決定しており、「5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方」へと引き上げられる予定です。また、違反した従業員だけでなく法人にも罰金が科される「両罰規定」も適用されます。会社の信用にも大きな影響があり、外国人の受け入れそのものが難しくなることもあります。
ここが誤解ポイント(知らなかったでは済まない)
「本人が就労できると言っていたから、会社は悪くない」と考える方もいますが、これは誤りです。不法就労助長罪は、故意でなくても、確認を怠った過失があれば処罰の対象になり得ます。つまり、「知らなかった」という理由だけでは責任を免れられません。
ただし、逆に言えば、在留カードの確認など、通常求められる注意をきちんと尽くしていたと示せる場合には、処罰を免れる余地があります。だからこそ、企業側の確認作業がとても重要になります。
企業が不法就労を防ぐための対策
不法就労助長罪を避けるために、企業は採用時や在籍中に次の点を確認しましょう。
- 採用前に在留カードの原本を確認し、在留資格・在留期限をチェックする
- 在留カードが本物かどうか、入管庁の「在留カード等番号失効情報照会」で確認する
- その在留資格で、任せたい仕事ができるかを確認する
- 留学生などを雇う場合は、資格外活動許可の有無と時間の上限を確認する
- 在留期限が近づいたら、更新状況を本人に確認する
とくに、在留カードの確認は最も基本的で重要な対策です。就労できる在留資格かどうかの判断に迷う場合は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
また、転職者を受け入れる場合の注意点は、就労ビザで転職したらどうなる?必要な手続きと注意点を解説で紹介しています。制度の詳細は、出入国在留管理庁の在留手続のページでも確認できます。
よくある質問
Q. 本人が在留資格を偽っていた場合も、会社は処罰されますか?
A. 確認を怠っていた場合は処罰される可能性があります。一方で、在留カードの確認など通常求められる注意を尽くしていたと示せる場合は、処罰を免れる余地があります。
Q. 留学生をアルバイトで雇うときの注意点は?
A. 留学生は資格外活動許可が必要で、原則として週28時間までしか働けません。この上限を超えて働かせると、不法就労助長罪に問われるおそれがあります。
Q. 在留カードが本物かどうか確認する方法はありますか?
A. 入管庁が提供する「在留カード等番号失効情報照会」で、カード番号が有効かどうかを確認できます。券面のチェックとあわせて活用しましょう。
Q. 罰則はどのくらい重いですか?
A. 現在は「3年以下の拘禁刑(※従来の懲役刑)もしくは300万円以下の罰金、またはその両方」です。さらに、2024年の入管法改正により厳罰化が決定しており、今後は「5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方」へと引き上げられる予定です。会社の信用にも甚大な影響を及ぼすため、日ごろの確認体制が非常に重要です。
まとめ
不法就労助長罪のポイントを整理すると、次のとおりです。
- 不法就労助長罪は、不法就労をさせた企業側が問われる罪
- 罰則は「3年以下の拘禁刑や300万円以下の罰金等」だが、2024年改正により「5年以下・500万円以下等」へ厳罰化される予定
- 故意でなくても、確認を怠った過失があれば処罰の対象になり得る
- 在留カードの確認など、通常求められる注意を尽くすことが最大の対策
このように、不法就労助長罪は企業にとって重大なリスクです。しかし、正しい知識を持って確認を徹底すれば、防ぐことができます。判断に迷うケースこそ、早めに専門家へ相談することが安全です。
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