不法就労助長罪とは?企業が知るべき罰則・2027年厳罰化と在留資格の確認方法

不法就労助長罪とは?企業が知るべき罰則・2027年厳罰化と在留資格の確認方法 在留資格
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「在留カードを見せてもらったから大丈夫」—そう思って外国人を雇ったのに、実は就労できない資格だった。こんなケースでも、雇った企業側が処罰される犯罪があります。それが不法就労助長罪(ふほうしゅうろうじょちょうざい)です。

この罪の怖いところは、「不法就労だと知らなかった」という言い訳が原則として通用しない点にあります。さらに2027年には罰則が大幅に引き上げられる予定で、外国人を雇うすべての企業にとって他人事ではありません。

この記事では、外国人を雇用する企業のご担当者に向けて、不法就労助長罪とは何か、どんなときに問われるのか、そして「知らなかった」では済まされないためにどう在留資格を確認すればよいのかを、行政書士がわかりやすく解説します。

不法就労助長罪とは?まず押さえる基本

不法就労助長罪は、出入国管理及び難民認定法(入管法)第73条の2で定められた犯罪です。ひとことで言えば、外国人に不法就労をさせたり、その手助けをしたりした人を処罰するものです。処罰されるのは働いた外国人本人ではなく、雇った側・あっせんした側、つまり企業や事業主です。

処罰の対象となる3つの行為

入管法では、次のような行為が不法就労助長罪の対象とされています。

  1. 不法就労させる行為:事業活動に関して、外国人に就労できない状態で働かせること(例:在留資格のない人を雇う、就労できない資格の人を働かせる)
  2. 自分の支配下に置く行為:外国人に不法就労させるために、自分の管理下に置くこと
  3. あっせんする行為:業として(ビジネスとして)不法就労をあっせん・仲介すること

多くの企業に関係するのは①です。「うちは仲介業ではないから関係ない」と思っていても、うっかり就労できない人を雇ってしまえば対象になり得ます。

「知らなかった」は通用しない—過失でも罰せられる

不法就労助長罪でもっとも注意すべきなのが、「不法就労だと知らなかった」だけでは責任を免れられないという点です。

入管法では、在留資格などの確認を怠った「過失」があった場合も処罰の対象とされています。つまり、きちんと確認していれば防げたはずなのに確認を怠っていた場合、「知りませんでした」は言い訳になりません。在留カードの確認をしていない等の過失がある場合は、不法就労だと知らなかったとしても処罰を免れない』旨が法律上明確に定められています。逆に言えば、企業側がしっかり確認していたこと(過失がなかったこと)を示せるかどうかが、身を守るうえでの分かれ目になります。

そもそも「不法就労」とは?3つのパターン

助長罪を理解する前提として、どんな状態が「不法就労」にあたるのかを整理しておきましょう。大きく次の3つのパターンがあります。

パターン具体例
①在留資格がない人が働く在留期限が切れている(オーバーステイ)、密入国など、そもそも適法な在留資格がない
②働けない資格の人が働く「短期滞在(観光)」で働く、「留学」「家族滞在」で資格外活動許可を取らずに働く
③認められた範囲を超えて働く留学生が資格外活動許可の上限(原則週28時間)を超えて働く、「技術・人文知識・国際業務」の人が単純労働に従事する

特に見落としがちなのが②と③です。留学生や家族滞在の方は「資格外活動許可」があれば一定範囲で働けますが、許可の有無や時間の上限を確認しないままシフトを組むと、知らないうちに不法就労を生んでしまいます。資格外活動許可のしくみは家族滞在ビザで働ける?就労条件と資格外活動許可の全手順で詳しく解説しています。

罰則はどれくらい重い?2027年の厳罰化ポイント

不法就労助長罪の罰則は、2024年6月に公布された改正入管法によって大幅に引き上げられます。施行は2027年4月(予定)です。

現行改正後(2027年4月施行予定)
罰則3年以下の拘禁刑※ または 300万円以下の罰金(両方科すことも可能)5年以下の拘禁刑 または 500万円以下の罰金(両方科すことも可能)

※懲役と禁錮は法改正により「拘禁刑」に一本化されています。

罰金の上限が300万円から500万円に上がるだけでなく、拘禁刑の上限が3年から5年に引き上げられる点も見逃せません。刑の重さが上がることで、悪質と判断された場合には執行猶予がつかず実刑となるリスクが高まります。「知らずに雇っただけ」で、企業の信用にも経営にも大きなダメージを受けかねません。

企業が問われないための在留資格チェック実務

不法就労助長罪から身を守る最大のポイントは、採用時と更新時に在留資格をきちんと確認し、その記録を残しておくことです。「過失がなかった」と示せるだけの確認を、手順として仕組み化しておきましょう。

在留カードで確認する項目(チェックリスト)

在留カードの「原本」を確認する(コピーやスマホ画像だけでは不十分)
※出入国在留管理庁が無料で提供している『在留カード等読取アプリケーション』をスマートフォンにダウンロードするだけで、誰でも簡単にICチップを読み取って偽造を確認できます。
在留資格:自社の仕事内容と在留資格が合っているか(例:事務職に「技術・人文知識・国際業務」など)
在留期間(満了日):期限が切れていないか
就労制限の有無:「就労不可」の記載がないか
資格外活動許可:カード裏面の記載を確認(留学・家族滞在などの場合)
☐ 確認後は原本のコピーを取って保管する※コピーを保管する際は、雇用管理の目的以外には使用しないよう、個人情報保護の観点から厳重に管理してください。

在留資格と仕事内容が合っているかの判断は難しい場合があります。代表的な就労資格については技人国ビザとは?要件・対象職種と2026年の日本語要件を解説もあわせてご覧ください。

在留カードの真贋・失効を確認する

近年、偽造在留カードによる不正も問題になっています。カードの見た目だけで判断せず、次の方法で確認しましょう。

  • 失効確認:出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」で、カード番号が有効かを確認できます。
  • 真贋確認:出入国在留管理庁が提供する在留カード読取アプリで、ICチップの情報と券面が一致するかを確認できます。

転職者・中途採用でも確認は必須

前の勤務先で就労資格があったからといって、自社の仕事でも当然に働けるとは限りません。仕事内容が変われば、在留資格の範囲から外れてしまうこともあります。転職者を受け入れる際の確認や届出については転職後の在留資格はどうなる?就労ビザ変更届ガイドを参考にしてください。

よくある「うっかり不法就労」ケース

  • 留学生アルバイトの働かせすぎ:資格外活動許可は原則週28時間まで。繁忙期に上限を超えると不法就労になります(長期休暇中は例外あり:学則で定められた長期休業期間中は1日8時間・週40時間まで拡大)。
  • 家族滞在の配偶者の無許可就労:資格外活動許可を取っていない家族滞在の方を、許可の確認なく働かせてしまうケース。
  • 資格の範囲外の仕事:「技術・人文知識・国際業務」の人を現場作業などの単純労働に回してしまうケース。
  • 在留期限切れの見落とし:更新時期の管理を怠り、気づかないうちに期限切れの人を働かせてしまうケース。

いずれも、採用時と定期的なタイミングでの確認・記録があれば防げるものばかりです。

まとめ

不法就労助長罪は、外国人を雇うすべての企業に関わる重要なリスクです。ポイントを整理します。

  • 不法就労させた・手助けした企業側が処罰される犯罪(入管法第73条の2)
  • 「知らなかった」では済まされず、確認を怠った過失でも処罰対象
  • 2027年4月(予定)から罰則が5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に厳罰化
  • 身を守る鍵は、在留カード原本での確認と記録の徹底

「この在留資格でこの仕事をさせて大丈夫か」「資格外活動許可の範囲はどこまでか」——判断に迷うケースは少なくありません。採用予定の外国人の在留資格チェックや、外国人雇用の体制づくりでお悩みの企業のご担当者は、どうぞお気軽にご相談ください。

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